同じ料理でも名前を変えることで注文数が変わりますが、ただ目を引く名前にすればよいわけではありません。
料理の内容をイメージでき、実際に提供される料理と名前が一致していることが大切です。
この記事では、注文につながりやすいメニュー名の7つの型や業態別の具体例、法律上の注意点、名前を見直すメニューの選び方を解説します。
メニュー名に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
メニュー名を考える前に知っておきたいこと
メニュー名を考える前に、顧客が何を重視しているか知ることが大切です。
メニューを考えるときに押さえておきたい基本的なポイントを解説します。
メニューの説明文まで読まれないことも多い
料理名を見ても内容や特徴が伝わりにくいと、そのままほかのメニューに目が移ってしまいます。
説明文を添えていても、お客様が必ず読むとは限りません。
料理名だけで、どんな料理なのか、どんな特徴があるのかが伝わることが大切です。
調理法や食感、使っている食材など、料理を選ぶときに参考になる情報を名前に入れておくと、料理をイメージしやすくなります。
どれだけ手間をかけた料理でも、名前から内容が伝わらなければ選ばれにくくなります。
選びやすいメニュー表に整える
売れるメニュー名を考えるうえでは、わかりやすさ・探しやすさ・選びやすさが大切です。
何の料理なのかがすぐにわかり、食べたいものを見つけやすく、似たメニューとの違いも判断できるようにしましょう。
たとえば、揚げ物を探している客がすぐに目的の料理を見つけられるよう、「揚げ物」のカテゴリを設けるなどの工夫をするとよいです。
メニュー名だけでなく、カテゴリの分け方や掲載順も含めて、選びやすいメニュー表に整えましょう。
メニュー全体の見せ方を確認する
料理を選びやすくするには、掲載する位置や価格、写真の見せ方も大切です。
目に入りにくい位置に掲載されていたり、周囲のメニューより価格が高かったりすると、料理名がわかりやすくても選ばれない場合があります。
写真がなく料理をイメージしにくい場合も同じです。
どこを見直すべきかを決めるためにも、メニュー全体を見ながら改善点を確認することが大切です。
飲食店で売れるメニュー名の7つの型
注文されやすいメニュー名には、いくつかの共通点があります。
ここでは、メニュー名を考える際に使える7つの型を解説します。
1.調理法を入れる
炭火焼き、低温調理、直火、燻製、石窯など、作り方が違うことが伝われば、それだけで他店との差になります。
「鶏もも焼き」を「炭火で焼いた鶏もも肉」と変えるだけでも、調理方法や仕上がりをイメージしやすいです。
調理法を入れると、どのように作られている料理なのかが伝わりやすくなります。
家庭では再現しにくい調理法であれば、店ならではの特徴としてアピールになります。
2.食感を入れる
カリカリ、とろとろ、ふわふわ、ほろほろなど、オノマトペを使うと、食感を短い言葉で伝えられます。
一例を挙げると、「フライドポテト」を「カリッと揚がったフライドポテト」とすると、食感をイメージしやすくなります。
ただし、使いすぎには注意が必要です。
多くのメニュー名に食感を入れてしまうと、それぞれの特徴が伝わりにくくなります。
3.素材・産地を入れる
具体的な素材名や品種名を入れると、料理の特徴が伝わりやすいです。
「野菜のサラダ」より「三種の葉野菜のサラダ」のほうが、何が出てくるかが想像できます。
ただし、産地名やブランド名をメニュー名に入れる際は、表示内容に注意が必要です。
実際に使用している食材と表記が異なると、景品表示法上の問題になる可能性があります。
4.数量・限定を入れる
「1日〇食限定」「この時季だけ」「入荷した日のみ」など、数量や期間が限られていることを伝えると、特別感が生まれ、商品の魅力も伝わりやすくなります。
ただし、実際には限定していない商品に限定と表示するのは避けましょう。
5.作り手や料理の背景を入れる
「大将のおまかせ」「〇年仕込み」「まかないから生まれた一皿」など、作り手や料理が生まれたきっかけを名前に入れると、そのメニューならではの特徴を伝えられます。
こうした付け方は、特に個人店で取り入れやすいです。
作り手の顔や店のこだわりが伝わりやすく、メニュー名にもその店らしさを出しやすいためです。
料理名は短くまとめ、補足したい内容は説明文に分けましょう。
6.サイズ・食べ方を入れる
「一人前」「二人でシェアできる量」「〆にどうぞ」「最初の一皿に」など、人数や食べるタイミングがわかると、注文時に選びやすくなります。
人数や食べるタイミングをメニュー名に入れると、どの場面で注文しやすい料理なのかが伝わりやすいです。
たとえば、「最初の一皿に」と添えれば注文の最初に選びやすく、「〆に」と書けば食事の最後に選ぶメニューだとわかります。
食べる場面をイメージしやすくなるため、何を頼むか迷っている客にも選んでもらいやすいです。
注文が特定のタイミングに集中しにくくなれば、厨房の負担軽減にもつながります。
7.比較の基準を入れる
選択肢が多い場合は、「定番」「迷ったらこれ」「当店いちばん人気」などの言葉があると、料理を選びやすくなります。
「いちばん人気」などの順位を示す表現は、実際の注文状況に合っていることが大切です。
根拠のない順位を付けるのは避けましょう。
飲食店の業態に合った売れるメニュー名の具体例
メニュー名に使いやすい言葉や表現は、店の業態によって変わります。
業態ごとのメニュー名の付け方を具体例とともに解説します。
居酒屋
居酒屋では、料理の特徴がひと目で伝わる、短くわかりやすいメニュー名が向いています。
枝豆に調理法や味付けを加えて「岩塩仕上げの焼き枝豆」としたり、ポテトサラダに使っている食材を加えて「燻製たまごのポテトサラダ」としたりすると、料理の特徴が伝わりやすいです。
また、ビールや日本酒など、相性のよいお酒をメニュー名に添える方法もあります。
カフェ
カフェでは、見た目や食感、使っている食材が伝わるメニュー名が向いています。
たとえば、パンケーキなら厚みやトッピング、サンドイッチなら具材の特徴をメニュー名に加えると、写真だけではわからない魅力も伝えやすくなります。
「発酵バターとメープルの厚焼きパンケーキ」「たまごたっぷりのサンドイッチ」など、料理の特徴が想像できる表現にするのがおすすめです。
また、店の雰囲気に合った言葉づかいにそろえると、メニュー表にも統一感が出ます。
和食
和食では、素材や季節感が伝わるメニュー名が向いています。
煮物なら「季節野菜の炊き合わせ」、刺身なら「本日の三点盛り」のように、旬の食材やその日の内容が伝わる言葉を取り入れるとよいです。
茶碗蒸しも「あつあつの海老入り茶碗蒸し」のように、仕上がりや調理の特徴を加えると料理をイメージしやすくなります。
読み方が難しい漢字にはふりがなを添えるなど、わかりやすさも意識しましょう。
フレンチ・洋食
フレンチや洋食では、「コンフィ」「テリーヌ」「エチュベ」などの専門用語を使うことがあります。
しかし、料理に詳しくない客には内容が伝わりにくいため、簡単な説明を添えると親切です。
たとえば、「鴨のコンフィ」であれば、「低温の油でじっくり火を入れた一皿」などの補足を加えると、料理をイメージしやすくなります。
料理名だけで伝わりにくい場合は、補足文で調理法や料理の特徴を説明しましょう。
カレー・ラーメン・焼肉などの専門店
専門店では、種類やトッピングなど、メニューごとの違いがわかりやすく伝わる名前が向いています。
たとえばカレー専門店なら、「辛口」だけでなく「辛さ3(辛口・唐辛子多め)」のように、辛さの段階や特徴を具体的に示すと選びやすくなります。
ラーメンや焼肉など、似たメニューが並ぶ専門店でも同じです。
違いがわかりにくい場合は、「まずはこれから」「店長おすすめ」など、初めての客が選びやすい一品を示しておくとよいです。
売れるメニュー名を付ける際の注意点
産地名、ブランド名、自家製などの表現を使う場合は、実際の内容と表示が合っているか確認する必要があります。
メニュー名に関係する景品表示法の注意点を解説します。
メニュー名も景品表示法の表示に当たる
消費者庁の「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」では、景品表示法の対象となる「表示」は、容器や包装だけに限られないとされています。
パンフレットやポスター、看板、インターネット上の情報、口頭での説明なども対象です。
また、店内や店頭のメニュー、料理名、陳列物、説明なども表示に該当し、景品表示法の対象になります。
メニュー名が優良誤認表示になり得る例
実際のものよりも著しく優良であると示す表示は優良誤認表示として禁止されています。
たとえば、牛の成形肉を使った料理を「ビーフステーキ」「ステーキ」と表示する場合は、「成形肉使用」などの表示が必要です。
ほかにも、ブラックタイガーを「クルマエビ」、市販のパンを「自家製パン」、機械打ちの麺を「手打ち麺」と表示する例などが、問題となるケースとしてあげられています。
既製品のジュースを「フレッシュジュース」と表示する場合も同じです。
一方、一般的な料理名として広く知られており、その料理に使われる食材も一般的なものとして認識されている場合は、名称だけで問題になるとは限りません。
メニュー名を付ける際には産地名や特定の表現に注意する
メニュー名を付ける際に気をつけたいのは、産地名、ブランド名、品種名、自家製、手打ち、有機、無添加、高級食材などの表現です。
ガイドラインでは、「〇〇(地域名)野菜使用」と表示しながらそれ以外の野菜を多く使う例や、有機野菜と表示しながら一部が有機野菜ではない例も、問題としてあげられています。
景品表示法に違反した場合に起こること
景品表示法に違反する行為がある場合、消費者庁長官が措置命令をおこない、その内容が公表されます。
また、一定の要件を満たす場合には課徴金の納付が命じられます。
違反にあたるかどうかは、料理名だけで判断されるわけではありません。
写真や説明文などを含め、メニュー全体から客がどのような印象を受けるかをもとに判断されます。
表現に迷う場合は、消費者庁の情報を確認したうえで、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
メニュー表示と仕入れ内容のずれを防ぐ
仕入れ内容が変わったときに表記をそのままにしないよう、メニューを確認する担当者や手順を決めておきましょう。
産地や品種を記載している場合は、仕入れ先の変更にあわせて表記を見直す必要があります。
時期によって産地が変わる場合は、その旨をあらかじめ示しましょう。
売れるメニュー名を付ける際に大切なこと
すべてのメニュー名を変更する必要はありません。
売上や利益を確認しながら、どの商品から見直すか優先順位を決めましょう。
売上と利益を見て見直すメニューを選ぶ
まず、よく売れているものの利益が少ない商品、利益は出ているものの注文数が少ない商品などに分けます。
メニュー名の変更を検討するべきなのは、「利益は出ているものの注文数が少ない商品」です。
すでに安定して注文されている商品は、名前を変えることで注文数に影響する可能性もあるため、慎重に判断しましょう。
メニュー名変更後の注文数を確認する
メニュー名を変更したあとは、変更前後の注文数を比較して効果を確認します。
曜日や季節によって注文数は変わるため、短期間だけで判断せず、ある程度の期間を設けて確認することが大切です。
また、一度に多くのメニュー名を変更すると、どの変更が注文数に影響したのかわかりにくくなります。
数品ずつ見直し、結果を確認しながら次の変更に進むと比較しやすいです。
メニュー表全体を見直す
メニュー名を変更する前に、掲載順、カテゴリの分け方、写真の有無、価格の並びを見直してください。
メニュー表の見せ方に問題がある状態では、メニュー名だけを変更しても効果が得られないことがあります。
また、メニュー数が多すぎると、客が選びにくくなるだけでなく、仕込みや在庫管理の負担も増えます。
必要に応じて品数を整理し、客が選びやすく、店舗側も管理しやすいメニュー表に整えましょう。
売れるメニュー名に関するよくある質問
飲食店で売れるメニュー名に関するよくある疑問を解説します。
面白いメニュー名は売上につながりますか?
面白いメニュー名は、話題性という点では効果があります。
ただし、内容が伝わらない名前はかえって注文されにくくなる可能性もあります。
凝った名前を使う場合は、補足文を添え、1〜2品程度に絞ると他のメニューとの差もつけやすいです。
「自家製」と書いていいのはどこまでですか?
市販品をそのまま提供する場合に「自家製」と表示することは問題となります。
一部の工程だけを店でおこなっている場合など、判断に迷うときは消費者庁の「景品表示法」を確認したうえで専門家にご相談ください。
メニュー名を変えたら値上げしてもいいですか?
メニュー名を変えたことを理由に値上げするのはおすすめできません。
値段を見直す場合は、量や食材、調理法など、料理の内容に変更があるかを確認しましょう。
提供内容が変わっている場合は、それに合わせて価格を調整する必要があります。
名前だけを変えて値上げすると、客に不信感を与える可能性があります。
メニュー名はわかりやすさと正確さを意識しよう
売れるメニュー名を考えるときは、料理の内容がひと目で伝わり、実際に提供する料理と表記が一致していることが大切です。
調理法や食感、素材などを取り入れながら、売上や粗利を確認して、見直すメニューを絞り込みましょう。
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