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飲食店の固定費とは?主な項目や損益分岐点の計算方法、固定費の削減方法を解説

飲食店の固定費とは?主な項目や損益分岐点の計算方法、固定費の削減方法を解説|飲食メディア

目次

飲食店の利益を確保するには、食材原価だけでなく、売上の増減にかかわらず一定額が発生する固定費を把握することが大切です。

家賃や正社員の給与、リース料、保険料などの固定費が増えるほど、赤字にならないために必要な売上高も高くなります。

この記事では、飲食店の主な固定費、変動費との分け方、損益分岐点の計算方法、固定費を削減する際の進め方を解説します。

飲食店の固定費とは?

店内で費用について考えるカフェスタッフ

飲食店の固定費とは、売上や販売量が変わっても、基本的に金額が変わらない費用のことです。

たとえば、定額の家賃や正社員の基本給などがあり、売上が減った場合でも契約内容などに応じて支払いが発生します。

ただし、固定費だからといって毎月同じ金額になるとは限りません。

年払いの保険料など、支払う時期や金額が月によって異なる費用でも、売上や販売量に直接連動しないものは固定費として扱われます。

一方、食材費や売上に応じて発生する手数料などは、売上や販売量に応じて変わるため変動費に分類されます。

飲食店で発生する主な固定費10例

厨房に立つ飲食店スタッフ

飲食店では、家賃や人件費、リース料など、さまざまな固定費が発生します。

飲食店で発生する主な固定費10項目を解説します。

1.店舗家賃・共益費

店舗家賃や共益費は、売上の増減にかかわらず毎月発生する固定費です。

店舗のほかに駐車場や倉庫などを借りている場合は、それらの賃料もあわせて確認します。

ただし、売上に応じて賃料が変わる契約では、定額部分と売上に連動する部分を分けて考える必要があります。

また、更新料や保証料など、家賃とは別に費用が発生する場合は、賃貸借契約書を確認し、家賃以外にいくらかかるのかも確認しておきましょう。

家賃を見直す際は、金額だけでなく、立地や店舗の広さ、移転にかかる費用、原状回復の条件なども含めて検討することが大切です。

2.正社員の基本給・固定手当

正社員の基本給や固定手当など、売上の増減に直接左右されない給与は固定費として扱われます。

一方、残業代や勤務時間によって変わる給与もあるため、人件費のすべてが固定費になるわけではありません。

また、時給制のスタッフでも、店舗を営業するために一定の人数を配置する必要がある場合は、その人件費が売上に合わせてすぐに減るとは限りません。

人件費を確認する際は、雇用形態だけで判断せず、給与の内訳やシフト、店舗の運営に必要な人数を確認することが大切です。

3.社会保険料の事業主負担

健康保険や厚生年金保険などの社会保険料には、従業員本人が負担する分と事業主が負担する分があります。

事業主負担分は店の売上に直接連動する費用ではないため、固定費として扱うことができます。

ただし、従業員数や給与、賞与などによって負担額は変わるため、給与台帳や保険料の通知を確認して見込み額を把握しておくことが大切です。

適用条件や保険料の計算方法が分からない場合は、年金事務所や加入している保険者、社会保険労務士などへ確認してください。

4.設備・POS・車両のリース料

厨房機器やPOS、車両などを定額で利用する場合は、売上が少ない月でも契約に応じた料金が発生します。

契約内容を確認する際は、対象となる機器や月額料金、契約期間、修理・点検などの対応範囲を確認しておきましょう。

リース料を見直す場合は、途中解約の可否や残りの支払い、返却条件、解約時にかかる費用なども確認する必要があります。

月額料金だけで判断せず、新たな設置費用や維持費、機器が停止した場合の営業への影響も含めて比較することが大切です。

5.通信・システムの基本料金

電話やインターネット、予約管理、勤怠、会計、BGMなどの定額料金も、毎月発生する固定費です。

利用件数に応じて料金が増えるサービスでは、基本料金と利用量に応じて変わる料金を分けて確認する必要があります。

契約を見直す際は、料金だけでなく、必要な機能やデータの保存、ほかのシステムとの連携に問題がないかも確認することが大切です。

6.保険料

火災や施設内の事故、提供した食品による事故などに備える保険料も、売上に直接連動しない固定費のひとつです。

年払いの場合は、年間の保険料を月額に換算すると、ほかの固定費と比較しやすくなります。

ただし、実際には更新時にまとまった支払いが発生するため、支払時期と金額もあわせて確認しておきましょう。

保険を見直す際は、保険料だけで判断せず、補償内容や免責金額、補償の対象外となる条件などを保険証券や契約内容から確認することが大切です。

7.減価償却費

減価償却費は、内装や厨房設備などの取得費用を、一定の期間に分けて費用として計上するものです。

設備を購入したときに全額を費用として計上するのではなく、使用する期間に応じて分けて計上します。

そのため、設備を購入したときの支払額と、その月に減価償却費として計上する金額は同じとは限りません。

資産の種類や取得時期などによって計上額が異なるため、資産台帳や会計帳簿で金額を確認しましょう。

参考:国税庁|減価償却のあらまし

8.借入金の利息

借入金の利息は、借入残高や金利、返済条件などに応じて発生する費用です。

返済が進むにつれて利息額が変わる場合があるため、毎月の金額は返済予定表で確認しましょう。

ただし、借入金の元本返済は損益計算上の費用には含まれないため、利息とは分けて考える必要があります。

借入金にかかる費用を確認する際は、利息と元本返済を分けて見ることが大切です。

9.顧問料・定額委託費

税理士や社会保険労務士などへの顧問料は、毎月または一定期間ごとに発生する固定費です。

また、清掃や警備、廃棄物回収などを定額で委託している場合は、その費用も固定費に含まれます。

契約によって、基本料金に含まれる業務の範囲や回数、追加料金が発生する条件は異なります。

見直す際は、契約書や請求明細を確認し、現在の業務内容に対して必要な契約になっているかを確認しましょう。

外部委託をやめて自店で対応する場合は、費用だけでなく、スタッフの作業時間や業務負担も含めて検討することが大切です。

10.定額の広告・媒体費

グルメ媒体の掲載料や広告枠、Webサイトの管理などでは、毎月または一定期間ごとに定額料金が発生する場合があります。

一方、予約人数や件数に応じて発生する手数料や、売上に応じて変わる料金がある場合は、定額部分とは分けて確認しましょう。

契約を見直す際は、掲載料だけでなく、予約数や実際の来店数、客単価なども確認することが大切です。

ただし、複数の媒体を見て来店する場合もあるため、ひとつの数字だけで判断せず、ほかの集客手段も含めて検討しましょう。

飲食店の固定費と変動費で迷いやすい項目

費用の分類について考える飲食店の料理人

費用のなかには、固定費と変動費のどちらかに分けにくいものもあります。

たとえば、水道光熱費は、基本料金に加えて使用量に応じた料金がかかる仕組みです。

キャッシュレス決済やデリバリーサービスでも、定額の基本料金とは別に、売上や利用件数に応じた手数料が発生する場合があります。

また、人件費も雇用形態だけで固定費・変動費を分けられるとは限りません。

毎月一定額を支払う給与と、勤務時間や残業時間によって増減する部分がある場合は、それぞれ分けて考える必要があります。

このような費用をすべて固定費または変動費のどちらかにまとめると、実際にかかる金額と計算結果に差が出る場合があります。

請求書や契約内容、給与台帳などを確認し、毎月一定して発生する部分と、売上や利用量などに応じて変わる部分を分けて確認しましょう。

損益分岐点を計算する際も、どの費用を固定費・変動費として扱ったのか分かるようにしておくことが大切です。

飲食店の固定費から損益分岐点売上高を計算する方法

電卓で費用を計算するカフェスタッフ

損益分岐点売上高とは、売上と費用が同じになり、利益がゼロになる売上高のことです。

変動費率が大きく変わらない場合は、以下の式で計算できます。

変動費率=変動費÷売上高

限界利益率=1-変動費率

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

たとえば、月の固定費が120万円、変動費率が40%の場合、限界利益率は60%です。

この場合の損益分岐点売上高は、120万円÷0.6=200万円となります。

ただし、これは計算方法を示すための一例であり、飲食店の平均的な固定費や適正な売上高を示すものではありません。

計算する際は、売上高・固定費・変動費の対象期間をそろえ、税込・税抜の基準も統一しましょう。

また、仕入価格や商品の売れ方が変わると変動費率も変わるため、実際の売上や費用に合わせて計算し直すことが大切です。

参考:日本政策金融公庫|売上予測と損益分岐点分析をしよう

損益分岐点から飲食店の売上目標を考える

パソコンで売上目標を話し合う飲食店スタッフ

損益分岐点売上高を営業日数で割ると、1日あたりに必要な売上高の目安を計算できます。

たとえば、損益分岐点売上高が月200万円で月25日営業する場合、1日あたりに必要な売上高は8万円です。

さらに客単価が2,000円なら、1日あたり40人の来店が必要という計算になります。

ただし、実際の売上や来店客数は、平日と週末、ランチとディナーなどによって異なります。

過去の曜日別・時間帯別の売上や客数を確認し、店舗の席数や提供できる料理数なども踏まえて、現実的な目標になっているか検討しましょう。

飲食店の固定費を見直す6つのステップ

タブレットと電卓で請求書を確認する様子

固定費を削減する際は、金額の大きい費用を一律に減らすのではなく、契約内容や利用状況を確認しながら進めることが大切です。

飲食店の固定費を見直す流れを6つのステップに分けて解説します。

1.契約を一覧にまとめる

まずは、銀行口座の引き落とし履歴や法人カードの明細、請求書などを確認し、契約先や料金、支払方法、更新時期、解約の申出期限など、毎月支払っている固定費と契約内容を一覧にします。

年払いの契約や、別の担当者が申し込んだサービスも見落とさないようにしましょう。

契約書には、月額料金のほかに最低利用期間や途中解約の条件、追加料金などが記載されている場合があります。

不明な点がある場合は、契約先や社内の担当者へ確認してから次の見直しへ進みましょう。

2.利用実績と目的を確認する

契約を一覧にしたら、それぞれのサービスを現在どのように利用しているか確認します。

システムなら利用している機能や人数、予約媒体なら予約数や来店状況、清掃なら作業範囲など、契約内容に応じて実際の利用状況を確認しましょう。

契約した当時と現在では、店舗の営業状況や必要な内容が変わっている場合もあります。

また、日常的に利用しないサービスでも、緊急時や定期的な手続きに必要な場合があるため、契約を続ける目的もあわせて確認することが大切です。

ほかの契約と機能が重複していないかも確認し、現在の店舗運営に必要なサービスかを判断しましょう。

3.削減できる金額と店舗運営への影響を確認する

固定費を見直す際は、単純に月額料金がいくら減るかだけで判断しないことが大切です。

たとえば、月1万円のサービスを解約しても、代わりの作業に同程度の人件費がかかる場合は、実際の削減額は小さくなります。

解約金や移行費、新しいサービスや運用方法へ切り替える際の教育にかかる時間なども含め、変更後にどの程度費用を減らせるか計算しましょう。

また、料理の提供時間や衛生管理、機器トラブルへの対応、スタッフの業務負担に問題が出ないかも確認する必要があります。

4.契約条件を交渉・比較する

見直す契約が決まったら、現在の契約先へプラン変更や利用数の調整ができるか相談します。

他社と比較する場合は、機能や対応内容、契約期間などの条件をそろえて見積もりを取りましょう。

設置費や追加料金によって総額が高くなる場合もあるため、月額料金だけで判断しないことが大切です。

家賃やリース料などは店舗側の判断だけで変更できないため、契約書を確認したうえで契約先と相談しましょう。

契約を変更する際は、料金だけでなく、必要な機能や対応内容を維持できるかも確認してから決めることが大切です。

5.影響の小さいものから順に変更する

複数の契約や運用方法を同時に変更すると、費用や業務に変化があったときに、どの変更が影響したのか分かりにくくなります。

そのため、店舗運営への影響が小さく、変更後の効果を確認しやすいものから順に進めましょう。

変更する内容や実施日、担当者、変更前後で比較する項目をあらかじめ決めておくことも大切です。

システムやサービスを切り替える場合は、必要なデータの保存やスタッフへの説明など、営業に支障が出ないよう準備しておきます。

変更後は、予定どおり契約内容が切り替わっているか、不要な請求が残っていないか確認しましょう。

6.翌月以降の効果を確認する

固定費を見直した後は、請求額が予定どおり減っているかを確認します。

年払いなど支払時期が変わる契約では、ひと月の金額だけでなく、同じ期間で支払う総額を比較しましょう。

また、費用だけでなく、売上や予約状況、待ち時間、スタッフの残業時間などに変化がないかも確認することが大切です。

想定していたより業務負担が増えた場合は、契約内容や利用範囲、業務の進め方を見直す必要があります。

確認した結果は契約一覧などに残し、次回の更新や固定費の見直しに活用しましょう。

飲食店の固定費削減で注意したい品質と安全

厨房で食材と手順を確認する料理人

固定費を見直す際は、費用を減らすことだけでなく、衛生管理や安全対策、法令への対応に支障が出ないかも確認する必要があります。

清掃や設備の点検、スタッフ教育の機会などを減らす場合は、食中毒や火災、機器の故障などのリスクが高まらないか注意しましょう。

たとえば、清掃の委託範囲を減らす場合は、店内で誰が担当するのか、必要な作業を継続できるのかなどを確認することが大切です。

広告や集客サービスを見直す場合も、費用だけで判断せず、来店への影響やほかの集客方法で補えるかを検討します。

削減後も、店舗のサービスやスタッフの業務負担に問題が出ていないか確認し、必要に応じて契約内容や運用方法を見直しましょう。

飲食店の固定費は内容を確認して無理なく見直そう

電卓を手に固定費を見直す飲食店スタッフ

飲食店の固定費には、家賃や人件費、リース料、保険料など、売上の増減にかかわらず発生する費用があります。

まずは契約内容や支払額を確認し、固定費と変動費を分けたうえで、損益分岐点となる売上高を把握することが大切です。

固定費を削減する際は、料金だけでなく、店舗運営やサービス、安全面への影響も確認しながら進めましょう。

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山内芳輝

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