飲食店経営が厳しいときは、売上を増やす施策の前に、現金残高と支払予定を確認することが大切です。
そのうえで、客数や客単価、粗利益、主な費用のどこに問題があるかを分けると、取り組む順序を決めやすくなります。
この記事では、飲食店経営が厳しくなる主な原因と、立て直しの進め方、早めに相談を検討したい状況を解説します。
経営がうまくいかないオーナーは、ぜひ参考にしてください。
飲食店経営が厳しい主な7つの理由

飲食店経営が厳しくなる原因は、売上の減少だけではありません。
経営を圧迫する主な理由を7つに分けて解説します。
1.客数が不足している
客数が不足する理由には、店舗周辺の状況の変化や競合店の出店、再来店の減少などがあります。
まずは、どの曜日や時間帯で客数が減っているのかを確認しましょう。
平日のランチだけが落ちている店と、週末の予約が減っている店では、原因や必要な対策が異なります。
新規客が減っている場合は、店舗情報が正しく掲載されているか、来店につながりにくい理由がないかを確認します。
常連客が減っている場合は、味や提供時間、接客、価格変更後の反応などを振り返ってください。
欠員によって席数を減らしている場合は、集客よりも受入体制の見直しを優先します。
天候や休業日も記録し、需要の減少と営業条件の変化を分けて考えることが大切です。
2.客単価が下がっている
客単価は、一人あたりの売上です。
客単価が下がる理由には、注文点数の減少や低価格メニューへの偏り、値引きの増加などがあります。
来店人数が変わらなくても、コースの利用が減って単品注文が増えると、売上が下がる場合があります。
会計データから、商品別の販売数や値引き後の金額を確認しましょう。
客単価を上げるために、単に価格の高い商品を勧めるのではなく、利用目的に合ったメニューを考えることが大切です。
たとえば、短時間の昼食には選びやすいセット、会食には予算が分かるコースなどが考えられます。
ただし、セットを追加して客単価が上がっても、食材費や作業時間が増える場合があります。
変更後は、客単価だけでなく、粗利益額や客数、顧客の反応も確認してください。
3.原価率が上がっている
原価率は、売上高に対する売上原価の割合です。
仕入単価が上がった場合だけでなく、廃棄や盛り付け量のばらつき、原価率の高い商品の販売増加などによっても上昇します。
食材の購入額をそのまま当月の原価として扱うと、在庫の増減によって原価を正しく把握できない場合があります。
期首在庫と期末在庫を含めて確認しましょう。
原因を調べる際は、レシピと販売数から求める理論原価と、棚卸しを反映した実際原価を比べます。
差が大きい食材は、廃棄記録や計量方法、棚卸し数量、伝票を確認してください。
また、粗利益額は売上高から売上原価を差し引いた金額です。
原価率だけでなく、粗利益額も確認すると、家賃や人件費などの費用をまかなえる利益が残っているかを把握しやすくなります。
原価率だけを下げようとして量や品質を変えると、顧客の満足度が下がる可能性があります。
販売数を維持しながら廃棄を減らせるか、価格や商品構成を見直して粗利益額を確保できるかを考えることが大切です。
4.売上に対して人件費の負担が大きい
仕込みに時間がかかる、食器や備品の移動が多い、注文が一度に集中するなど、作業に時間がかかる状況では人件費の負担も大きくなります。
そのため、人件費を見直すときは、すぐに人数を減らすのではなく、まずどの業務に時間がかかっているのかを確認することが大切です。
たとえば、客数が少ない時間帯でも、清掃や仕込みなどの作業をしている場合があります。
ピーク時に作業が滞っている場合は、厨房やホールのどこで時間がかかっているのかを確認しましょう。
品数や仕込みの分担、備品の位置、教育方法などを見直すことで、作業時間を減らせる場合があります。
見直した後は、労働時間だけでなく、料理の提供時間や残業、休憩、ミスの発生状況も確認し、スタッフへの負担が増えていないかを確かめることが大切です。
5.売上に対して固定費の負担が大きい
家賃や定額のリース料、システム利用料などの固定費は、売上が減ってもすぐには下がりません。
開業時の売上を想定して契約した費用が、現在の売上に対して負担になっている場合があります。
請求書や契約書を確認し、毎月発生している費用や更新時期、解約条件などを把握しましょう。
現在の売上や費用を確認し、固定費をまかなえるだけの利益が残っているかを確認することも大切です。
契約を見直す場合は、違約金や移転費用などの一時的な支出も含めて比較してください。
6.店の特徴や価格が伝わっていない
料理の特徴や価格、利用しやすい場面が伝わっていないと、お客様にとって他店との違いが分かりにくくなります。
一例を挙げると、素材へのこだわりを伝えていても、短い昼休みに利用するお客様が重視するのは、料理の内容だけでなく提供までの時間である場合があります。
どのようなお客様に、どのような場面で利用してほしい店なのかを明確にし、料理の内容や量、提供方法などを写真やメニューで伝えましょう。
値上げする場合も、価格だけでなく、料理の量や内容など変更後の情報を分かりやすく伝えることが大切です。
7.経営に必要な数字の確認が遅い
売上を毎日確認していても、原価や支払予定の確認が遅れると、利益や資金繰りの悪化に気づきにくくなります。
確認する数字と担当者、確認する時期を決め、変化を早めに把握できるようにしましょう。
日次では売上や客数、現金の差異を確認し、週次では販売数や廃棄、労働時間、今後の入出金予定を確認します。
月次では、棚卸しを反映した損益と資金繰りを照らし合わせてください。
最初から多くの数字を確認するのではなく、変化があったときに何を確認するかを決めておくことが大切です。
飲食店経営が厳しいときは資金繰りを先に確認する

まず、口座残高やレジの現金、今後の入金予定と支払予定を確認し、資金が不足する時期を把握します。
キャッシュレス決済は売上日と入金日が異なる場合があるため、入金予定日や手数料も確認してください。
仕入れや給与、家賃、税金、社会保険料、借入返済などは支払日と金額を確認し、支払い後にどのくらいの資金が残るかを確かめましょう。
損益だけでなく実際の入出金予定も確認し、資金不足が見込まれる場合は、金融機関や税理士などへ早めに相談することが大切です。
4週間を目安に進める飲食店経営の見直し方

立て直しに必要な期間は、店舗の経営状況や資金の余力によって異なります。
一例として、4週間をひとつの目安に、状況を確認しながら改善を進める場合の流れを解説します。
1週目:数字と現場を照らし合わせる
最初の週は、売上や原価、人件費などの数字と、実際の店舗の状況を照らし合わせます。
数字だけでは分からない原因もあるため、廃棄や盛り付け量、仕込みや閉店作業にかかる時間なども確認しましょう。
必要な記録が揃っていない場合は、今後どの項目を記録するか、誰が確認するかを決めます。
スタッフにも、どの作業に時間がかかっているか、困っていることはないかを確認してください。
最後に、影響が大きい問題や早めに対応できる問題、専門家への確認が必要な問題に分け、次の週に取り組む内容を決めます。
2週目:無駄な支出を減らす
二週目は、一週目に確認した内容をもとに、営業や安全面への影響を抑えながら減らせる支出を見直します。
例としては、過剰な発注や廃棄、使っていない契約、利益が十分に残らない割引などが対象です。
どの項目を、誰が、いつまでに見直すかを決め、変更前の数量や金額も記録しておきましょう。
発注量を減らす場合は、欠品によって注文を受けられる機会を減らさないよう、予約数や曜日別の販売実績を確認してください。
使っていない契約を解約する場合は解約条件や業務への影響を確認し、営業時間や作業時間を短縮する場合は、清掃や衛生管理に必要な時間まで削らないよう注意しましょう。
費用を減らした結果、スタッフの作業時間や負担が増えていないかもあわせて確認することが大切です。
3週目:売上につながる商品やサービスを伝える
三週目は、注文実績や粗利益、お客様の反応を確認し、どの商品やサービスを重点的に伝えるかを決めます。
店側が売りたいという理由だけで決めず、注文数や再注文の有無、作業にかかる負担なども確認しましょう。
注文が多い商品や利益が残りやすい商品は、価格や内容が伝わるよう、店頭やメニュー、写真、店舗情報を見直します。
新規のお客様には、どのような料理を、どのくらいの予算や時間で利用できるのかを分かりやすく伝えることが大切です。
宣伝を始める前に、仕入れや仕込み、人員、予約枠などを確認し、注文が増えても対応できる状態か確かめてください。
まずは対象となる商品や時間帯を絞って試し、来店数や粗利益、スタッフの負担を確認しながら広げていきましょう。
4週目:結果を確認して次の対応を決める
四週目は、最初に決めた目標と実際の結果を比べます。
売上だけでなく、客数や客単価、粗利益額、労働時間、手元に残る資金なども確認しましょう。
天候や連休、貸切、休業などの影響があった場合は、その内容も記録しておきます。
短期間の結果だけで効果を判断せず、改善できた点と、引き続き確認が必要な点を分けることが大切です。
今後も続ける取り組みは、次に確認する時期や必要な費用、担当者を決めます。
十分な改善が見られなかった場合は、予定どおり実行できたか、商品や価格がお客様の需要に合っていたか、費用の負担が大きくなかったかを確認してください。
今後の支払予定と手元に残る資金を確認し、取り組みを続けることが難しい場合は、金融機関や経営相談窓口などへ早めに相談しましょう。
飲食店経営が厳しいときに相談を検討する目安

給与や家賃、税金、社会保険料、借入返済などを期限までに支払えない見込みがある場合は、支払いが遅れる前に相談することが大切です。
支払いの先延ばしが続いている、赤字を補うための借入が増えている、今後の資金繰りを見通せない場合も、早めに専門窓口へ相談しましょう。
相談する際は、直近の損益や資金繰り、借入状況、主な契約内容、これまでに取り組んだ改善策など、用意できる資料を持参します。
資料がすべて揃っていなくても、分かっている範囲で状況を伝えて相談できます。
中小企業活性化協議会では、収益力の改善や事業再生、再チャレンジなど、経営状況に応じた相談を受け付けています。
また、税金は税務署や自治体、社会保険料は年金事務所など、相談内容に応じた窓口へ確認してください。
飲食店経営が厳しいときは原因と資金繰りを確認しよう

飲食店経営が厳しいときは、客数や客単価、原価、人件費、固定費など、どこに問題があるのかを確認することが大切です。
あわせて、手元の資金と今後の支払予定を確認し、取り組める内容や優先順位を決めましょう。
立て直しを進める際は、売上だけで判断せず、粗利益やスタッフの負担、必要な費用なども確認しながら見直してください。
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