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飲食店経営に疲れたらどうする?限界のサインと立て直し方を解説

目次

飲食店の経営者は、仕込みから深夜の締め作業まで働き続け、休みの日も資金繰りの計算に追われることがあります。
そんな日々が続けば、「もう疲れた」と感じるのも無理はありません。
この記事では、飲食店経営で疲れが溜まる原因を整理し、休息の取り方や経営の仕組みの見直し、夫婦・家族との関係の整え方、経営から離れる選択肢まで解説します。

飲食店経営に疲れるのは努力不足ではない

疲れを個人の頑張りの問題として片づけてしまうと、対応策は「もっと頑張る」だけになってしまいます。
まずは、疲れが溜まる原因を3つに分けて見ていきます。

営業時間外の仕事が経営者に集中する

飲食店の仕事は、店を開けている時間だけで終わりません。
仕込み、発注、清掃、シフト作成、経理、SNSの更新など、営業時間外に発生する業務が経営者ひとりに集中します。
従業員がいる店舗でも、判断が必要な業務は最終的にオーナーが対応することが少なくありません。
個人で経営している店であれば、業務を分担できる相手がそもそもいない場合もあります。
「もっと頑張らなければ」と考えるのではなく、どの業務の負担が大きいのかを整理すると、見直すポイントがわかりやすくなります。

環境要因に左右される

天候、季節、周辺の人流、原材料価格など、飲食店の売上は、自分ではコントロールできないさまざまな要因に左右されます。
雨が続けば客足が落ち、仕入れ値が上がれば原価率も変動します。
会社員であれば、売上が変動しても給与がすぐに変わるわけではなく、その影響を個人が直接受けることはありません。
一方、経営者は、売上が落ちたときの影響を自分の判断や資金でカバーしなければなりません。
売上への不安は営業が終わったあとも続き、休みの日でも仕事のことを考えてしまいます。
こうした精神的な負担が、体力面以上に疲れにつながる場合もあります。

人が定着しないために陥る悪循環

採用には広告費がかかり、育成にも時間が必要です。
人が辞めると、それまでにかけた費用や時間が無駄になってしまうことがあります。
さらに、空いたシフトを経営者自身が埋めなければならないケースも少なくありません。
ここで起きるのが「教える時間がないから自分でやる、自分でやるから教える時間がない」という悪循環です。
現場に立つ時間が増えるほど採用や育成に手が回らなくなり、人が育たないためにまた現場に立つことになります。
こうした悪循環に気づくことで、どこから見直せばよいのかがわかりやすくなります。

飲食店経営者の「疲れた」が危険域に入っているサイン

疲れが続く場合は、休息だけで様子を見ず、専門家への相談を検討したほうがよいケースもあります。
その目安となるサインを解説します。

疲れが仕事にあらわれるサイン

疲労が溜まると、判断や行動に変化が出る場合があります。
発注の数量を間違えることが増える、クレーム対応が雑になる、スタッフへの言い方が強くなる、売上や資金繰りの確認を後回しにするなど、仕事ぶりに変化が見られたら注意が必要です。
疲労によって判断力や気持ちの余裕が低下すると、メニューの精度や接客の質、スタッフとのコミュニケーションにも影響します。
精神論で片づけず、普段との行動の違いに気づいたら自分の状態を確認してみましょう。

休んでも回復しないと感じたら

眠れない、食欲がない、何をしても気持ちが晴れないなどの状態が2週間ほど続く場合は、心身に不調が生じている可能性があります。
無理に自分だけで判断せず、医療機関や相談窓口への相談を検討してください。
かかりつけ医や心療内科、保健所、精神保健福祉センターなど、相談先はいくつかあります。
「経営者だから弱音を吐けない」と一人で抱え込まず、必要に応じて周囲や専門家に相談することも大切です。
店を続けていくためにも、経営者自身の心身の状態も後回しにしないようにしましょう。
なお、症状や必要な対応は人によって異なるため、自己判断はせず専門家に確認してください。

ひとりで抱えないための相談先

相談先としておすすめなのは、商工会議所・商工会の経営相談、各都道府県のよろず支援拠点、顧問税理士、同業の経営者コミュニティなどです。
労務面のトラブルであれば、労働局の総合労働相談コーナーがあります。
「相談したところで売上が増えるわけではない」と感じるかもしれません。
ですが相談の価値は、解決策そのものより、判断をひとりで抱えない状態をつくることにあります。
第三者に話すと、頭の中で絡まっていた問題が、資金繰り・人手・家庭などの別々の課題に分かれ、手をつける順番が見えてきます。
同業の経営者に話すことにも意味があります。
守秘性が気になる場合は、商圏の重ならない地域の経営者や、業界団体の集まりを選ぶとよいです。
「うちだけがうまくいっていない」という思い込みは、同じ立場の人と話すと薄れていきます。
自分だけで判断せず、選択肢を増やすために相談先を活用しましょう。

飲食店経営者は仕組みを変えて負担を減らそう

飲食店経営の負担を減らすには、日々の業務や店舗運営の方法を見直すことも大切です。
ここでは、経営者の負担を軽減するための具体的な方法を解説します。

メニューを絞って負担を減らす

メニュー数を減らすと、複数の業務負担をまとめて軽減できる場合があります。
品数を減らすと、仕込み時間、在庫、廃棄、オペレーションの複雑さ、新人への教育コストが同時に下がります。
大切なのは「何を残すか」です。
ここを感覚で決めると、注文数が多いにもかかわらず、手間がかかるという理由だけで看板商品を外してしまう可能性があります。
判断する際は、データも確認してください。

営業時間・定休日を見直す

売上の少ない時間帯を短縮したり、定休日を1日増やしたり、ランチ営業をやめたりする方法もあります。
売上が減る可能性はありますが、それ以上に人件費や自分の稼働を抑えられる場合もあります。
まずは、時間帯別・曜日別の売上データを確認してください。
家賃などの固定費は営業時間を短くしても減らないため、削る時間帯の粗利と、削減できる人件費を比べる必要があります。
また常連客の来店習慣に影響するため、変更前の告知は丁寧におこないましょう。

任せられる状態をつくる

業務をマニュアル化し、スタッフに任せられる範囲を増やすことで、経営者が現場に立つ時間を少しずつ減らせます。
「自分がやるほうが早い」と感じる場面もありますが、それが仕事を任せにくくする原因になることもあります。
まずは、任せる仕事を少しずつ決めるとよいです。
たとえば、発注は定番品だけ、清掃はチェック記録だけというように、担当する仕事を絞ります。
判断の基準を紙に書いておけば、何度も確認する手間も減らせます。
最初はやり直しが必要になることもありますが、少しずつやり方を共有していきましょう。

夫婦・家族での飲食店経営がこじれる理由と整え方

夫婦や家族で飲食店を経営していると、仕事上の悩みが家庭にも影響することがあります。
夫婦・家族経営で起こりやすい問題と、その対処法を解説します。

職場と家庭の境目がないことが摩擦を生む

夫婦で店を営んでいると、仕事で感じたストレスをお互いにぶつけてしまうことがあります。
従業員など第三者がいない場合は、仕事中に気持ちを切り替えにくく、店での言い争いを家庭まで引きずってしまうこともあります。
大切なのは、こうした問題を相手の性格だけが原因だと考えないことです。
夫婦や家族だけで店を運営していると、仕事と家庭を切り離しにくく、お互いに不満が溜まりやすくなることがあります。
まずは、役割分担や働き方に無理がないかを確認してみましょう。

役割と決定権をあらかじめ分けておく

調理、接客、仕入れ、数字、採用など、領域ごとに担当者と最終決定権を決めて、紙に書き出しておきましょう。
決定権が曖昧なままだと、意見が割れるたびにその場での言い合いになります。
話し合いの仕方にも工夫が必要です。
営業中や、疲れ切った深夜は避けてください。
週に一度など、時間を決めたほうが、落ち着いて話し合いやすくなります。
相手を責めるのではなく、「店としてどうするか」を軸に話すと、意見をすり合わせやすくなります。

家庭側にしわ寄せが出ていないか点検する

育児や家事、家計の管理など、家庭での負担がどちらか一方に偏っていないかも確認してみましょう。
店のことで余裕がなくなると、家庭での負担や不満にも気づきにくくなることがあります。
お互いを責めるのではなく、それぞれが何に負担を感じているのかを話し合うことが大切です。
二人だけで話し合うのが難しい場合は、カウンセリングや自治体の相談窓口などを利用する方法もあります。

飲食店経営に疲れたときの選択肢

飲食店経営に疲れたからといって、続けるかやめるかをすぐに決める必要はありません。
ここでは、規模の縮小や業態変更、店舗の譲渡など、経営を見直すための選択肢を解説します。

規模を縮める・業態を変える

閉店を決める前に検討できる選択肢はいくつかあります。
たとえば、席数を減らして少人数で運営できる規模にしたり、メニューや客層を絞った業態に変えたりする方法があります。
イートインを減らし、テイクアウトや通販を中心にするのも選択肢のひとつです。
ただし、移転や業態変更には費用がかかるほか、契約内容によって制限を受けることもあります。
賃貸借契約の用途や契約期間、原状回復の条件などを事前に確認しておきましょう。
設備投資にかかる費用も含め、無理のない資金計画を立てたうえで判断することが大切です。
縮小の判断で迷いやすいのが「客数が減るのではないか」という不安です。
席数を減らすことで、接客の質や店舗運営を改善できる場合もあります。
売上の総額だけでなく、働く時間に対してどれくらい利益が残るのかも確認してください。
同じくらいの利益を、より短い営業時間で確保できるかどうかも検討するポイントです。

譲渡・売却という手段の実際

居抜きで店舗を譲渡・売却できれば、内装や設備にかけた費用の一部を回収できる可能性があります。
原状回復費をかけて閉店する場合と比べて、手元に残る金額が多くなるケースもあります。
ただし、査定額は立地や業態、設備の状態によって異なるため、1社の提示額だけで決めず、複数の業者に相談して比較しましょう。
店舗の譲渡や売却も、経営から離れる方法のひとつとして検討できます。

経営から離れて雇われる立場で飲食を続ける

経営者をやめても、飲食業界で働き続ける道はあります。
飲食店の経営を通して身につけた、仕入れや原価管理、採用、シフト管理、売上管理などの経験は、店長候補や店舗運営を担当する仕事でも活かせます。
勤務条件の合う職場へ移れば、資金繰りなどの経営責任から離れながら、飲食に関わり続けることも可能です。
一度経営から離れたあと、経験を積んで再び自分の店を持つという道もあります。

飲食店経営の悩みに関するよくある質問

飲食店経営の悩みに関するよくある質問に回答します。

飲食店経営は「やめとけ」と言われますが、実際どうなのでしょうか?

飲食店経営が誰にとっても不向きというわけではありません。
ただし、労働時間が長くなりやすく、固定費や売上の変動にも対応する必要があるため、負担が大きくなることがあります。
無理なく経営を続けるには、休みを確保したり、人員配置や資金面を見直したりすることが大切です。
経営者一人の頑張りだけで解決しようとせず、店舗の運営方法そのものを見直してみましょう。

夫婦経営で収入はどのくらいになりますか?

夫婦で飲食店を経営する場合の収入は、業態や席数、立地、売上、家賃などによって大きく異なるため、一概にはいえません。
売上が多くても、食材費や人件費、家賃などの経費がかかれば、手元に残る金額は少なくなります。
夫婦でどのくらいの収入を得られるかを考える際は、売上だけでなく、経費を差し引いた利益を確認することが大切です。

閉店を考えていますが、従業員にはいつ伝えるべきですか?

解雇予告や退職手続きには法令上のルールがあります。
伝える時期と方法は、社会保険労務士や労働局に事前に確認したうえで決めてください。
従業員が今後の生活や転職に備えられるよう、できるだけ早めに伝えることが大切です。
ただし、伝える時期や必要な手続きは状況によって異なります。

飲食店経営に疲れたら働き方や経営方法を見直そう

飲食店経営の疲れは、長時間労働や売上への不安、人手不足など、さまざまな要因が重なることで大きくなります。
負担を減らすには、メニューや営業時間の見直し、業務の分担など、経営の仕組みを整えることが大切です。
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山内芳輝

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