飲食店の販促には、SNSでの情報発信やチラシの配布、再来店を促すクーポンなど、さまざまな方法があります。
集客や売上の改善に取り組みたくても、どの方法が自店に合うのか、費用や手間をどのくらいかけるべきか迷う方もいるかもしれません。
施策を選ぶ際は、新規客を増やしたいのか、再来店を促したいのか、客単価を上げたいのか、目的を明確にしましょう。
また、来店数や売上が増えても、値引きや特典の費用によって利益が減る場合があるため、費用に見合う効果が得られるかも確認が必要です。
この記事では、目的別の販促アイデアや費用の考え方、店舗での活用事例、実施時の注意点を解説します。
飲食店の販促とは?来店・再来店・追加注文につなげる取り組み

飲食店の販促とは、お客さまに店舗やメニューの魅力を伝え、来店や再来店、追加注文を促す取り組みです。
店舗を知ってもらうだけでなく、実際の注文や利用につなげる役割もあります。
例をあげると、SNSで料理に興味を持った人が、ホームページで価格や営業時間を確かめて来店する流れが考えられます。
来店後に店内の案内を見てデザートを追加したり、会計時に受け取ったクーポンで後日再来店したりすることも、販促で目指す行動のひとつです。
来店前・店内・来店後のそれぞれで、お客さまに何を伝えるかを考えましょう。
飲食店の販促費は売上と利益を踏まえて決める

販促費の予算は、売上や利益に加え、手元の資金と今後の支払い予定も踏まえて決めましょう。
たとえば、月商200万円の店舗で売上の3%を販促費に充てる場合、予算は月6万円です。
これは予算を考えるための計算例であり、自店に適した金額は利益や資金の状況によって異なります。
損益計算書や資金繰り表を確認し、無理なく支出できる金額を決めてください。
年間の販促計画では、宴会予約を増やしたい時期や、客数が落ち込む曜日・時間帯などに応じて予算を配分します。
媒体を契約する際は、掲載料や予約手数料に加え、支払い時期や最低契約期間も確認しましょう。
また、投稿やチラシの制作を外注する場合は、制作費も予算に含める必要があります。
まずは費用や作業の負担を抑えて試し、来店数や利益の変化を確認しながら、継続する施策と予算を見直してください。
飲食店の販促を始める前に確認する2つのポイント

販促を始める際は、目的やターゲットを明確にし、来店が増えても対応できるように準備を進めましょう。
実施前に確認しておきたい2つのポイントを解説します。
目的とターゲットを決める
販促の目的は、曜日別の客数や新規客・リピーターの割合、客単価などを確認し、自店の課題に沿って決めましょう。
たとえば、平日のランチ客を増やしたい場合は、近隣で働く人をターゲットに、看板でメニューや価格、提供時間を伝える方法があります。
宴会の予約を増やしたい場合は、会場を探している幹事に向けて、グルメサイトやホームページでコース料金や対応できる人数、個室の有無などを案内するのが効果的です。
このように、来てほしいお客さまと利用場面を具体的にすると、伝える内容や使う媒体を選ぶ基準が明確になります。
来店時に店舗を知ったきっかけを聞き、実際の予約経路と照らし合わせながら、ターゲットに情報が届いているかを確かめましょう。
料理・接客・清潔さとスタッフ体制を整える
販促で来店が増えても、料理や接客に不満が残れば、再来店につながらない場合があります。
実施前には、飲食店の基本となるQSCを確認しましょう。
QSCとは、Quality(品質)、Service(接客)、Cleanliness(清潔さ)の頭文字を取った言葉です。
料理の提供温度や待ち時間、スタッフの対応、テーブルやトイレの清掃状況などを確認し、問題があれば改善します。
また、想定する来店人数に対して、仕込み量やスタッフの配置が十分かも確かめましょう。
飲食店の新規客を増やす販促アイデア

新規客を増やすには、店舗の存在や魅力を知ってもらい、来店につなげる工夫が必要です。
検索サービスやSNS、紙媒体を使った販促アイデアを紹介します。
Googleビジネスプロフィールで店舗情報を整える
Googleビジネスプロフィールでは、Google検索やGoogleマップに表示される店舗情報を無料で管理できます。
営業時間や定休日、住所、メニュー、価格を正確に登録し、料理や店内の写真も掲載しましょう。
初めて来店するお客さまが入口を確認できるよう、外観の写真を載せておくのもおすすめです。
外国人客の来店が見込まれる場合は、写真付きのメニューや多言語の案内も用意すると、料理や利用方法が伝わりやすくなります。
掲載後は更新する担当者を決め、営業時間やメニュー、価格などに変更があれば、その都度反映しましょう。
InstagramやTikTokで料理や店舗の魅力を伝える
InstagramやTikTokでは、料理や店内の様子を写真や動画で紹介できます。
料理の盛り付けや客席の雰囲気は写真で、湯気や調理中の動きは短い動画で伝えるなど、見せたい内容に合わせて使い分けましょう。
仕込みの様子や新メニューの開発過程を紹介すると、完成した料理だけでは伝わらない店舗のこだわりも発信できます。
投稿には料理名や価格を添え、店舗の所在地や営業時間はプロフィールから確認できるようにしておきましょう。
使用するSNSは、来てほしいお客さまの利用状況に加え、写真や動画の制作を続けられるかも踏まえて選びます。
撮影や投稿にかかる時間を見込み、担当者や投稿頻度を決めておくと、日々の営業と両立しやすくなります。
グルメサイトやホームページで来店前の情報を伝える
SNSなどで店舗に興味を持った人が詳しい情報を確認できるよう、グルメサイトやホームページも整えましょう。
メニューの内容や価格に加え、席の種類や予約の受付方法、キャンセル条件なども掲載すると、利用を検討する際の判断材料になります。
グルメサイトを選ぶ際は、無料で掲載できる範囲と、有料プランで使える機能、掲載料や予約手数料を確認してください。
ホームページでは、食材へのこだわりや店舗の雰囲気など、自店で伝えたい内容をまとめて紹介できます。
予約を受け付けている場合は、予約ページへのリンクや電話番号を分かりやすい位置に掲載しましょう。
チラシや看板で近隣のお客さまに店舗を知らせる
チラシや看板は、近隣に住む人や店舗の前を通る人に、店舗を知ってもらうための方法です。
チラシを配る際は、来てほしいお客さまが住む地域や建物を考え、新聞折込やポスティングなどの配布方法を選びましょう。
店舗の場所や営業時間、主なメニューと価格を載せ、地図や外観の写真を添えると、店舗までの行き方も伝えられます。
看板では、何を食べられる店なのか、予算はどのくらいかを、通行人が読み取れるようにしましょう。
店名だけでなく、看板メニューや価格を載せると、通行人が入店前に料理や予算を確認できます。
ただし、道路でチラシを配る場合は、場所や方法によって道路使用許可が必要になるため、事前に所轄の警察署へ確認しましょう。
ポスティングでは投函禁止の表示や建物の管理ルールを守り、看板も設置場所のルールや必要な許可を確認してください。
飲食店のリピーターを増やす販促アイデア

一度来店したお客さまに再び足を運んでもらうには、次に利用したくなるきっかけをつくりましょう。
ポイントカードやクーポン、LINE公式アカウントなどを使った販促アイデアを紹介します。
ポイントカードや次回来店クーポンで再来店を促す
ポイントカードや次回来店時に使えるクーポンは、お客さまに再び来店してもらうきっかけになります。
ポイントカードでは、来店回数や利用金額に応じてポイントを付け、一定数がたまると特典を受け取れる仕組みにします。
特典を受け取る条件は、自店のお客さまの来店頻度や利用金額を踏まえて決めましょう。
次回来店クーポンは、会計時に渡し、次の来店で使える特典と利用条件を案内します。
平日の来店を増やしたい場合は、利用できる曜日や時間帯を限定する方法もあります。
対象メニューや最低利用金額、有効期限、ほかの特典との併用可否などを明示し、お客さまが使い方に迷わないようにしましょう。
特典の内容は、対象商品の原価や値引き後の利益を確認し、継続して提供できる範囲で決めてください。
LINE公式アカウントやDMで再来店につながる情報を届ける
LINE公式アカウントでは、友だち追加したお客さまへ、新メニューや季節の企画などを配信できます。
来店時に登録を案内し、季節限定メニューの販売開始やキャンペーンの情報を届けて、再来店のきっかけをつくりましょう。
季節の企画やキャンペーンは、お客さまが予定を立てられるよう、開始日より前に案内してください。
郵送で案内を受け取りたいお客さまには、DM(ダイレクトメール)で季節のメニューや催しを知らせましょう。
飲食店の客単価を上げる店内販促アイデア

客単価を上げるには、食事中のお客さまに追加の一品やセットメニューを案内しましょう。
卓上POP(商品やおすすめ情報を伝える掲示物)にデザートやサイドメニューの写真、価格、量を載せると、追加注文を検討してもらえます。
スタッフから勧める際は、注文内容や食事の進み具合に合わせ、無理に注文を促さないようにしてください。
たとえば、食後のタイミングでドリンクやデザートを案内する方法があります。
セットメニューでは、ランチにドリンクを付けるなど、お客さまが組み合わせて注文できる形にしましょう。
単品よりも割安にする場合は、組み合わせた商品の原価を踏まえ、利益が残る価格に設定する必要があります。
飲食店の特徴を生かした販促の活用事例

料理だけでなく、店内の催しや店舗づくりの過程も、販促で伝えられる内容です。
店舗の特徴や取り組みを発信した2つの事例を紹介します。
たいこ茶屋:マグロ解体ショーを公式サイトで案内
東京・浅草橋エリアの「たいこ茶屋」は、公式サイトでマグロ解体ショーを写真付きで紹介してきました。なお、2026年10月時点では店舗の休業が案内されているため、ここでは過去の販促事例として紹介します。
マグロをさばく様子を見られるだけでなく、解体したマグロを購入し、その場で食べたり持ち帰ったりできる催しでした。
食事の内容だけでなく、店内でどのような体験ができるのかを伝え、来店前に楽しみをイメージしてもらう取り組みです。
自店でも、調理の実演や食材の食べ比べなど、料理の特徴を生かした催しができないか考えてみましょう。
開催する際は、写真や動画で内容を紹介し、開催日時や参加方法も分かりやすく案内してください。
居酒屋燃えた うらめし屋:開店までの過程をSNSで発信
赤羽の「居酒屋燃えた うらめし屋」は、2023年12月に前店舗が火災で全焼した後、新店舗を開くまでの過程をSNSで発信しました。
店名やメニューを刷新し、約4ヶ月後の2024年4月に移転して再出発しています。
運営会社が開店時に公表した資料によると、SNSでの発信は150万回以上再生されました。
完成した店舗や料理だけでなく、開店までの経緯や店づくりへの思いも伝えた事例です。
自店でも、新メニューの試作や改装、開店準備など、日々の取り組みを発信できます。
準備中の様子に加え、食材を選んだ理由や試作で工夫した点などを紹介し、店舗や料理への関心につなげましょう。
飲食店の販促を実施する際の注意点

販促を実施する際は、法令や媒体のルールを守り、費用に見合う効果が出ているかを確認しましょう。
実施時に気をつけたい4つのポイントを解説します。
景品表示法の景品上限を確認する
景品やプレゼントを使う販促では、景品表示法で定められた上限を確認しましょう。
購入者や来店者にもれなく渡す場合と、抽選などで当選者に渡す場合では、適用されるルールが異なります。
景品の種類 | 取引価額 | 景品類の最高額 | 景品総額の上限 |
総付景品(購入者や来店者にもれなく提供) | 1,000円未満 | 200円 | 総額の規制なし |
総付景品(購入者や来店者にもれなく提供) | 1,000円以上 | 取引価額の20% | 総額の規制なし |
一般懸賞(抽選などで提供) | 5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
一般懸賞(抽選などで提供) | 5,000円以上 | 10万円 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
取引価額は、景品を受け取るための購入条件などによって決まり、来店だけを条件とする場合は原則100円です。
ただし、店舗で通常おこなわれる取引の最低額などによって扱いが変わるため、企画に応じて確認してください。
また、通常の値引きとして扱われ、景品類に該当しない特典もあります。
実施する企画がどの区分に当たるかは、消費者庁の案内で確かめましょう。
参考:消費者庁|景品規制の概要
口コミ投稿の依頼は法令と投稿先のルールを守る
口コミやSNS投稿を使った販促では、投稿内容や特典の付け方に注意が必要です。
店舗が投稿内容の決定に関与し、店舗の広告と判断される場合は、広告であることを明瞭に示さなければなりません。
たとえば、特典と引き換えに高評価や推奨コメントを指定する場合は、店舗の広告に当たります。
一方、投稿内容を指定せず、投稿者が自主的に感想を書く場合など、特典があっても一律に規制違反となるわけではありません。
ただし、投稿先が独自に禁止している行為もあるため、法令とは別に確認しましょう。
Googleマップでは、口コミの投稿と引き換えに、割引や無料の商品・サービスなどを提供する行為が禁止されています。
口コミを依頼する際は、評価や内容を指定せず、投稿先で認められている方法で案内してください。
来店数と利益を確認して販促を見直す
販促の効果は、新規客の獲得や再来店の促進など、実施前に決めた目的に沿って確認しましょう。
新規客を増やす施策では、専用クーポンの利用や来店時の聞き取りから、その施策をきっかけに来店した人数を記録します。
施策にかかった費用を、同じ集計期間の新規来店人数で割ると、1人あたりの集客コストを算出できます。
たとえば、費用1万円で新規客20人が来店した場合、1人あたりの集客コストは500円です。
複数の媒体を見て来店する人もいるため、聞き取った来店理由だけで効果を厳密に判断できない点には注意してください。
再来店を促す施策では特典を利用したお客さまの再来店状況、客単価を上げる施策では対象商品の注文数や客単価の変化を確認します。
値引き後の売上に対して、食材費や特典の原価、販促費、追加の人件費などを見込み、利益が残るかも確かめましょう。
十分な効果が得られていない場合は、対象のお客さまや実施時期、特典の内容などを見直し、継続するかを判断してください。
来店増加に備えて予約枠やスタッフ配置を調整する
販促で注文や会計が集中すると、料理の提供や接客が遅れる場合があります。
混雑を抑えるため、時間ごとの予約人数に上限を設けたり、空いている時間帯へ案内したりして、来店時間を分散させましょう。
そのうえで、予約状況に応じて調理・配膳・会計の担当を決め、忙しい持ち場を補助できるようにしておきます。
スタッフの配置だけでは対応が難しい場合は、キャンペーンで提供するメニューを絞るなど、作業を減らす工夫も必要です。
また、想定以上に来店が増えたときもスタッフが判断に迷わないよう、受付を止める基準や待ち時間の案内方法を共有しておきましょう。
こうした調整をしても継続的に人手が足りない場合は、採用も検討し、新しいスタッフの教育期間を見込んで準備を進めてください。
飲食店の販促は目的に合う方法を選び、効果を確かめながら続けよう

飲食店の販促では、新規客の獲得や再来店の促進、客単価の向上など、目的に応じて自店に合う方法を選ぶ必要があります。
まずは客数や売上の状況を確認し、SNSでの発信や店内の案内など、取り組みやすい施策から始めましょう。
実施後は来店数や客単価、利益の変化を確かめ、内容や予算を見直していきます。
また、来店の増加によってスタッフの負担が増える場合は、業務分担や人員配置を見直し、必要に応じて採用も検討しましょう。
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