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飲食店のインバウンド対策とは?外国人観光客の受け入れ・集客方法や補助金を解説

飲食店のインバウンド対策とは?外国人観光客の受け入れ・集客方法や補助金を解説|飲食メディア

目次

外国人観光客の来店が増えるなか、飲食店では多言語メニューの用意や接客方法の見直しなど、インバウンド対策が求められる場面があります。

一方で、「英語を話せるスタッフがいない」や「何から取り組めばよいかわからない」などと悩むオーナーや店長の方もいるかもしれません。

外国人観光客を受け入れるには、言語への対応だけでなく、決済方法や食事制限への配慮なども必要です。

また、集客につなげるためには、外国人観光客に向けた店舗情報の発信も欠かせません。

この記事では、飲食店で取り組めるインバウンド対策、受け入れ準備や集客方法、価格設定、利用可能な補助金などを解説します。

飲食店のインバウンド対策とは?基本的な内容と訪日客の現状

案内する飲食店スタッフ

飲食店のインバウンド対策は、外国人観光客の受け入れ準備と集客が中心です。

インバウンドの意味や具体的な対策、訪日客数と飲食需要の現状を解説します。

インバウンドと飲食店のインバウンド対策の意味

インバウンドとは、観光の分野では海外から日本を訪れる外国人旅行者や、その旅行を意味する言葉です。

飲食店のインバウンド対策は、大きく受け入れと集客の2つに分けられます。

受け入れ対策には多言語メニューの作成や決済方法の整備、接客方法の見直しなどがあり、集客対策にはGoogleマップやSNSを通じた情報発信などがあります。

こうした対策によって、外国人観光客が来店前に店舗情報を確認しやすくなり、来店後も注文や会計をスムーズに進められるようになります。

訪日外国人旅行者数と飲食需要の現状

日本を訪れる外国人旅行者は増加しており、旅行中の飲食にも多くのお金が使われています。

観光庁の「観光の現状等について」によると、2025年の訪日外国人旅行者数は約4,268万人となり、過去最高を更新しました。

また、観光庁の「インバウンド消費動向調査」によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円で、前年比16.4%増となりました。

2026年4〜6月期の飲食費は5,463億円で、旅行消費額全体の21.7%を占めています。これは宿泊費、買物代に次ぐ金額です。

ただし、訪日客が増えていても、すべての飲食店で売上が増えるわけではありません。

店舗の立地や客層、周辺の観光施設などを確認し、自店で外国人観光客の来店が見込めるかを踏まえて、必要な対策を検討しましょう。

参考:観光庁|インバウンド消費動向調査

飲食店がインバウンド対応をするメリット・デメリット

仕事のポイントを説明する飲食店スタッフ

飲食店がインバウンド対応に取り組むメリットは、外国人観光客という新たな客層を獲得し、売上を増やす機会が生まれることです。

たとえば、多言語メニューや外国人観光客が利用しやすい決済方法を整えることで、言葉や支払いへの不安から来店をためらっていたお客さまにも、店舗を利用してもらいやすいです。

また、来店したお客さまがSNSや口コミサイトで店舗を紹介すれば、ほかの外国人観光客にも店を知ってもらうきっかけになります。

一方で、多言語メニューの作成や決済サービスの導入には、費用がかかるほか、スタッフの業務負担が増える場合もあります。

外国人観光客の来店が増えた場合、言語の違いによって注文や会計に時間がかかり、既存のお客さまへの対応に影響するかもしれません。

さらに、外国人観光客の来店数は為替や国際情勢などの影響を受けるため、継続的に同じ客数を見込めるとは限りません。

インバウンド対応を進める際は、導入費用やスタッフの業務量、既存のお客さまへの影響を確認し、自店の状況に合わせて取り組みましょう。

訪日外国人が飲食店で困っていること

店内で考え込む飲食店スタッフ

外国人観光客が飲食店を利用する際には、スタッフとのコミュニケーションや案内表示、支払い方法などで困る場合があります。

観光庁の令和7年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」によると、訪日中に困ったこととして、スタッフとのコミュニケーション(15.4%)、多言語表示の少なさ・わかりにくさ(10.9%)、クレジットカード・デビットカードの利用(10.7%)などが挙げられています。

また、スタッフとのコミュニケーションで困った場所として飲食店を挙げた割合は38%、カードの利用で困った場所として飲食店を挙げた割合は32%で、いずれも飲食店が最も多い結果となりました。

こうした問題を減らすには、外国人観光客が料理の内容や注文方法を理解できるようにするほか、利用可能な決済手段をわかりやすく案内するなどの対策が必要です。

飲食店で取り組みたい外国人観光客の受け入れ対策5選

笑顔で並ぶ飲食店スタッフ

外国人観光客が安心して飲食店を利用できるようにするには、注文や会計、接客などで困らない環境を整える必要があります。

多言語メニューや決済方法、食事制限への配慮など、飲食店で取り組みたい5つの受け入れ対策を紹介します。

写真や番号を活用した多言語メニューの作成

多言語メニューを作成する際は、料理名の翻訳だけでなく、写真や使用している主な食材、調理方法なども記載しましょう。

たとえば、親子丼を「Oyakodon」と表記するだけでは、どのような料理なのか伝わらない場合があります。

鶏肉と卵をだしで煮てご飯にのせた料理だと説明すれば、お客さまにも内容が伝わりやすいです。

また、メニューに番号を付けておくと、料理名を発音できなくても番号や指差しで注文できます。

スタッフも注文内容を確認しやすくなるため、聞き間違いの防止に役立ちます。

対応する言語は英語を基本にしつつ、来店客の国や地域に応じて韓国語や中国語などを追加しましょう。

アレルゲンや豚肉、アルコールの使用状況は、文字とピクトグラムを組み合わせて表示する方法もあります。

また、QRコードで閲覧できる多言語メニューを導入する場合は、対応言語や内容の更新方法を確認し、自店で管理しやすいサービスを選びましょう。

キャッシュレス決済とフリーWi-Fiの導入

外国人観光客が利用できる支払い方法を増やすには、キャッシュレス決済の導入を検討しましょう。

VisaやMastercardなどの国際ブランドのクレジットカードに加え、来店客の国や地域に応じてAlipayやWeChat Payなどのコード決済にも対応すると、支払い方法の選択肢を増やせます。

また、利用できる決済手段を入口やレジ付近に掲示しておけば、お客さまが支払い方法を事前に確認できます。

店内でのインターネット利用に備えて、フリーWi-Fiの設置も検討しましょう。

フリーWi-Fiは、外国人観光客がメニューの翻訳や旅行情報の検索、SNSへの投稿などをする際に利用できます。

QRコードで閲覧するメニューを導入している店舗では、お客さまが自身のモバイルデータ通信を使わずにメニューを確認できるのもメリットです。

設置する際は、通信費や接続方法を確認し、店舗業務で使用するネットワークと分けるなど、セキュリティにも配慮しましょう。

翻訳ツールや接客シートを活用した接客

英語を話せるスタッフがいない場合でも、翻訳アプリや指差しシートを活用すれば、注文や会計などの基本的な接客に対応しやすくなります。

まずは店舗で使用する翻訳ツールを決め、スタッフ全員が使い方を確認できるようにしましょう。

ただし、翻訳ツールには誤訳のリスクがあるため、食物アレルギーなど安全に関わる内容は、翻訳結果だけで判断しないことが大切です。

接客時の意思疎通には、農林水産省が公開している「飲食事業者のためのインバウンド対応ガイドブック」も参考になります。

ガイドブックには、アレルギーの確認や調理方法の説明などに使える指差しコミュニケーションツールが掲載されています。

無料で閲覧できるため、店舗で使う接客シートを作成する際の参考にしてください。

また、「May I take your order?(ご注文をお伺いしてもよろしいですか)」など、よく使う英語表現をまとめておくと、スタッフが接客中に確認できます。

作成した接客シートは、注文を受ける場所やレジなど、スタッフが確認しやすい場所に置いておきましょう。

ハラール・ヴィーガン・食物アレルギーへの対応

宗教や信条、健康上の理由などによって、食べられる食材が限られている外国人観光客もいます。

こうしたお客さまに対応するには、料理に使用している食材や調味料、調理方法を確認し、提供できる内容を正確に伝える必要があります。

たとえば、イスラム教の戒律に沿ったハラール対応では、豚肉やアルコールの使用だけでなく、食材の製造過程や調理器具の共用などにも注意が必要です。

豚肉やアルコールを使用していない料理でも、必ずしもハラールに対応しているとは限りません。

また、ヴィーガンとは、食事において肉や魚、卵、乳製品などの動物由来の食品を避ける人のことです。

具材が野菜だけの料理でも、だしにかつお節などを使用していれば、ヴィーガン向けとして提供できないため、調味料やだしの原材料も確認しましょう。

食物アレルギーへの対応では、使用食材だけでなく、調理器具や油の共用などによって、アレルゲンが意図せず混入する可能性にも注意が必要です。

お客さまから食物アレルギーについて質問された場合は、使用食材や調理手順を確認し、対応できない場合や安全性を確認できない場合は、その旨を明確に伝えましょう。

食事制限に対応できるメニューがある場合は、店舗のWebサイトや店頭メニューなどに、対応できる内容や条件を掲載しておくと、お客さまが来店前に確認しやすくなります。

店舗ルールの多言語案内と無断キャンセル対策

お通し代や席の利用時間、注文数などのルールは、外国人観光客にもわかるよう、来店前や入店時に多言語で案内しておきましょう。

特に、追加料金が発生する場合は、金額や提供内容を事前に明示しておくことで、会計時のトラブルを防ぎやすくなります。

店頭やメニューに利用条件を記載し、不明な点があればスタッフが説明できる体制を整えておくことも大切です。

また、予約を受け付ける店舗では、無断キャンセル(ノーショー)への対策も必要です。

予約時にはキャンセル料が発生する条件や連絡方法を多言語で案内し、お客さまが事前に確認できるようにしましょう。

予約システムによっては、クレジットカード情報の登録や事前決済を利用できるものもあり、無断キャンセルによる損失を抑える方法として検討できます。

導入する際は、決済手数料やキャンセル時の返金手続きなども確認し、店舗の運用に合うサービスを選びましょう。

飲食店が外国人観光客を集客する方法

店内に立つ飲食店スタッフ

外国人観光客を集客するには、店舗の受け入れ環境を整えるだけでなく、旅行前や旅行中に利用される検索サービスやSNSで情報を発信する必要があります。

Googleビジネスプロフィールの活用方法や、国・地域に応じた集客媒体の選び方を紹介します。

Googleビジネスプロフィールを活用した集客

Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに店舗情報を掲載できる無料のサービスです。

外国人観光客が店舗を探した際に、営業時間や所在地、料理の内容などを確認できるよう、必要な情報を掲載しましょう。

具体的には、料理や店内の写真やメニューの内容を掲載しておくと、お客さまが来店前に店舗の特徴を把握しやすくなります。

外国語で情報を発信する場合は、多言語のメニューやWebサイトへの案内を用意する方法もあります。

Googleビジネスプロフィールで登録できる情報や利用可能な機能を確認し、必要に応じて多言語のWebサイトなどと組み合わせましょう。

外国人観光客向けのグルメサイト・SNS・口コミサイトの選び方

外国人観光客を集客するには、国や地域によって利用されるSNSやグルメサイトの違いを把握しておきましょう。

観光庁の「訪日外国人の消費動向(2025年 年次報告書)」によると、訪日前に役立った情報源として、SNS(43.3%)や動画サイト(39.6%)が多く挙げられています。

たとえば、中国本土からの旅行者に向けては大衆点評や小紅書(RED)、韓国からの旅行者にはNAVERなどが集客媒体の候補になります。

また、Instagramやトリップアドバイザーなども、来店してほしい国や地域の利用状況に応じて活用を検討しましょう。

グルメサイトや予約サービスに掲載する場合は、対応言語や予約機能、掲載費用などを確認する必要があります。

複数の媒体を利用すると、営業時間やメニュー情報の更新、予約管理などの手間も増えるため、スタッフの業務量を踏まえて利用する媒体を選びましょう。

まずは来店客の国や地域、周辺の観光客の傾向を調べ、優先して取り組む媒体を選んでください。

飲食店のインバウンド向けメニューの価格設定と注意点

ワイングラスを運ぶ男性スタッフ

外国人観光客の来店を見込んでメニューを見直す場合は、既存メニューの価格を変更するほか、新たなメニューを用意する方法もあります。

たとえば、和牛や旬の食材を使った特別コース、料理の説明や調理体験を組み込んだメニューなどです。

日本ならではの食材や調理方法、食文化に触れられる内容にすることで、通常の食事とは異なる体験を提供でき、価格に見合った付加価値を伝えやすくなります。

ただし、高価格帯のメニューに需要があるかどうかは、店舗の立地や客層、提供する内容によって異なるため、原価や人件費、提供にかかる時間を踏まえて価格を設定しましょう。

一方で、同じ料理でも国籍によって価格を変えると、お客さまに不公平だと受け取られ、トラブルにつながるおそれがあります。

価格に差を設ける場合は、料理やサービスの内容に応じた設定とし、料金に含まれるものや追加料金の条件を注文前に確認できるようにしておく必要があります。

飲食店が使えるインバウンド対策の補助金

パンを製造するスタッフ

飲食店がインバウンド対策に取り組む際は、店舗の所在地や事業内容によって、自治体などの補助金を利用できる場合があります。

たとえば、東京都と東京観光財団が実施する「インバウンド対応力強化支援事業補助金」は、都内の中小企業者が運営する飲食店などを対象とした制度です。

2026年度の募集期間は2026年4月1日から2027年3月31日までで、補助率は対象経費の1/2以内、多言語対応に関する事業は2/3以内となっています。

飲食店の場合、補助上限額は1店舗当たり300万円です。

ただし、予算額に達した場合は、募集期間内でも受付を終了します。

補助対象となる事業には、多言語対応、外国人向けグルメサイトへの掲載、キャッシュレス機器の導入、食事制限や文化・習慣の違いに対応するための整備などがあります。

また、交付決定前に開始した事業は原則として補助対象にならないため、設備の購入や契約を進める前に公募要領を確認しましょう。

東京都以外にも、インバウンド対策を対象とした補助金を設けている自治体があります。

補助金の利用を検討する場合は、店舗が所在する都道府県や市区町村の公式サイトなどで制度を探し、対象事業や申請期間、必要な手続きを確認してください。

飲食店のインバウンド対策は受け入れ環境と集客方法を見直そう

料理を提供する和装のスタッフ

飲食店のインバウンド対策では、多言語メニューや決済方法などの受け入れ環境を整えるとともに、外国人観光客に向けて店舗情報を発信する必要があります。

まずは自店の対応状況を確認し、翻訳ツールの導入やメニューの多言語化など、取り組みやすい対策から始めましょう。

設備やサービスの導入に費用がかかる場合は、補助金の利用も検討できます。

また、外国人観光客への対応によってスタッフの負担が増える場合は、業務分担や人員配置を見直し、必要に応じて採用も検討しましょう。

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山内芳輝

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